管理部門も積極的に5Sに取り組もう!
5S活動とは
5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを意味し、主に製造業やサービス業などの生産現場における職場環境の改善の基本となる考え方ですが、現職に転職してきて最初に取り組んだのがこの5S活動でした。
そもそも5Sとは何か
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけ(習慣)の頭の文字をとったものです。
- 「整理」とは、必要なものと必要でないものとを分けて必要でないものを捨てることです。整理の対象は物理的な物に限らず、スペース、仕事、情報などいろいろ応用できます。整理をすると本当に必要なものだけを残すことができます。
- 「整頓」とは、必要なものをだけを置き場を決めて表示することです。ここではきちんと表示をすることが大切です。置き場を決めても守られない。自分でも決めたことを忘れてしまうので他の人はなおわからないでは整頓と言えません。
- 「清掃」とは身の回りのものや職場の中をきれいに掃除することです。
- 「清潔」とは、まさに言葉通りの意味で職場を衛生的に保つことです。そこまで衛生性を求めない職場では、いつ誰が見ても、誰が使っても不快感を与えぬようにきれいに保つようにし、先に説明した整理・整頓・清掃の3Sを維持することです。
- 「しつけ(習慣)」は4Sが習慣化されており、職場のルールとして維持されている状態をいいます。
5S活動の目的
現職に就いた時の管理部門の状態は、お世辞にも組織として機能しているとは言い難く、社員ひとりひとりが、それぞれが自分の目の前の雑多な仕事に追われ、残業も非常に多く、職場の雰囲気には閉塞感が漂い、サポート部門として他部門や現場を気にする余裕はほとんど無い状態でした。
管理職として入社したはずの私もその日から一担当者として自ら電卓を叩かなければ仕事が追いつかないほどでした。
この状況を変えるために取り組んだのが、メーカー在職中に製造現場で実践していた5S活動でした。
5S活動の目的は「安全」「快適」「効率的」な職場づくりですが、私の場合、具体的に言うと先に述べたような状態の職場を「残業を無くし、コーヒーでも飲みながら余裕を持って仕事出来る職場に変える」ことでした。
何から始めるべきか?
管理部門の職場は事務所であり、働いているのは事務職なので、危険度が高くない職場でしょうから「安全」は常識的なレベルで考えておけば大丈夫でしょう。
まずは、モノを減らして使いやすい状態を維持するように徹底していけば、自ずと職場は「快適」になるはずです。
私の場合、最初に一人一人持っていた袖机(ワゴン)を思い切って処分してもらいました。
事務所内が狭いというのもありましたが、もともと自分が担当している業務の控えや仕掛りの書類などが共有キャビネットではなく自席の引き出しの中に収める習慣があったので、何か確認したいと思ったら他人の机の引き出しを開けなければならず、単純に嫌だなと思ったからです。
自席で保管していた書類は共有キャビネットに出して整理保管してもらいました。共有キャビネットに保管されていた創業以来の古い書類は、法廷保存期限を過ぎているものは処分し、その他は保存箱に収めて倉庫へ移しました。
それまで上司に自分の仕事を確認してもらう習慣もなかったので、最初は自分の仕事の結果(成果物)を共有キャビネットに保管することもままなりませんでした。長年のやり方で業務が俗人的になりすぎてしまい、ひとりひとりの仕事の状況も全く分からないので、負荷のかかっている人を助けるなどのチームプレーもほぼありませんでした。
みんな真面目に一生懸命やっているですけど、こんな状態じゃあそりゃ残業も多くなりますよね。
そんな状態で日々の仕事が重なると、目の前の自分の仕事をこなすことに集中するようになり、周りの人がどんな仕事をしているのか関心が薄くなり、チェック機能が働かないので業務の質も落ちてしまう。入社当社はそんな負のスパイラルの真っただ中でした。
とにかく今取り組んでいるもの以外の書類などはとにかく共有スペースへ誘導し、誰でも手に取れるよう分かりやすい状態で保管して手元で握りこまないよう繰り返し伝え、今何をしているか一目でわかるような状況を作るよう徹底しました。
たったこれだけのことでも長年の習慣を変えるのは難しく、当たり前のようになるまで半年近くかかったと思います。
効率化とは具体的に何をすれば良いのか?
次のステップは、楽に時間をかけずにモノを使えるようにするかを考えることですが、これが進むとどんどん「効率的」な職場になってくるはずです。
私が効率化を進めるうえで最も高いハードルと考えているのは、「人は今までのやり方を容易く変えたがらない」ということです。
新しいことにチャレンジするの時、必ず生みの苦しさがあります。今苦しんでいるのに、さらに苦しい状況に進んでいくのは勇気がいります。そこで多くの場合は「現状維持」を選択してしまいます。
なので、「生みの苦しみ」のその先にある「楽」をしっかりとイメージして、具体的に伝えることが「効率化」を成功させるカギです。
私が具体的に取り組んだことは、とにかく紙ベースのものを徹底的に減らすことでした。
前職での経験から、インターネットバンキングに始まり、e-tax、e-gov、電子化できるものは電子化していくことを徹底して進めました。今でこそ電子化は当たり前になっていますが、当時は経験がなければまだとっつきにくく何だか良くわからないものだったこともあり、紙ベースで行っている事務仕事が大量にありました。そこに改善の余地があるのは入社してすぐ気づいたので、自ら徹底して進めました。
電子化すれば今の業務はこんな風に変わって「楽」になる。それを何度も繰り返し伝えながら進めました。
1年半後には
5S活動をスローガンにして1年半後には、全員の平均残業時間が10時間/月を切るぐらいにまでになりました。
こうして私は、焦って電卓を叩くこともなくなり、コーヒーを飲みながら業務が出来るようになりました。
気をつけたいのは5S活動そのものは目的ではなく、自分たちが目指す職場づくりのための基本的な手段のひとつだということです。
また、業務の質を上げるのは、単純なことでも、一つのことでも、徹底して繰り返すことだと思います。
難しいことをするのではなく、徹底して繰り返す、それだけで職場改善は可能だと思います。
悩んでいるなら、5S活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。