会社は通勤手当を支給する義務はあるのでしょうか?
テレワークで無くなってしまった通勤手当の影響とは?
テレワークが進んだことによって会社へ通勤する機会が減り、通勤手当の支給が減ったもしくは無くなった方もいるのではないでしょうか。
会社としては通勤の実態がなければ通勤手当を支給しないということになると思いますが、そもそも通勤手当の定義はどうなっているのでしょうか。
通勤手当とは、従業員の通勤にかかる費用を会社が負担する意味のものです。
その支給基準はそれぞれの会社が決めており、全額負担の会社もあれば、一部負担の会社もあるでしょう。
通勤手当は広い意味で福利厚生のひとつであり、優秀な人材確保のために手厚くしている会社もあります。
一方でまったく通勤手当のない会社もあります。
なぜ、これほど差がでるのでしょうか。
通勤手当の支給基準は会社が決める
そもそも通勤手当の支給には法的義務はありません。
しかし、ほとんどの会社が就業規則や給与規定で通勤手当の支給基準を定めており、規定を定めることによって支給義務が発生します。
一般的に通勤手当で支給されるのはバス・電車などの定期代が多いですが、車・バイク・自転車といった交通用具やタクシーでの通勤などで支給されるものも含まれます。
支給方法は、「現金支給」と定期券などの「現物支給」のどちらかです。
通勤手当の支給基準として決めておくべきこと
現金支給の場合、規定には次の3点を盛り込んでおくとよいでしょう。
ひとつめは、自宅から会社までの最短最安の通勤経路を基準としておくことです。
これは、従業員が便利だから、楽だからといった安易な理由で最短経路ではない通勤経路を届出し、会社が余分な費用負担をしないようにするためです。
どうしてもという場合の差額は本人に負担させましょう。
ふたつめは、支給上限を決めておくことです。
これも、個人の都合で遠方から通勤する従業員に対して無制限に費用負担することにならないようにしておくためです。
もちろん、逆に福利厚生を手厚くする意味でこれらの制限を設けないというのもひとつの選択肢ではあります。
また、届出と違った経路で出勤していた場合の通勤手当の返還についても決めておくとよいでしょう。
最寄り駅までバス通勤で申請しているが実際は徒歩で通勤している場合など、悪意がなくとも不正受給となることがありますので、発覚した際に返還請求できるようにしておきましょう。
通勤手当には非課税限度枠がある
通常、支給される手当は所得として課税されますが、通勤手当はその他の手当と違って非課税限度枠があります。
これは、通勤手当が実費負担という意味合いが強いことが理由ですが、非課税限度額を超えて支給された場合は、給与として課税されますので注意しましょう。
非課税限度額の詳細は、国税庁のホームページで確認しておいてください。
社会保険料の計算には含まれる
所得税の非課税枠内の通勤手当であっても、社会保険料の標準報酬月額を決定には含まれますので間違えないように注意しましょう。
テレワークなどで通勤手当の支給が無くなってしまった場合、支給金額によっては社会保険等級が下がる可能性があります。
そうなると、毎月の手取りが増えるかもしれませんが、将来の年金が減ってしまう可能性がありますのでよく確認しておきましょう。
まとめ
たかが、通勤手当と侮るなかれ。
通勤手当の増減によって、会社にも従業員にも影響あるところが多くありますので、正しく理解しておくようにしましょう。