管理部門で働く人は経営者目線と従業員目線のバランスが大切
良い会社とは
以前、現職の役員と幹部社員で“良い会社とはどんな会社か”という議論をしたことがあります。
そもそも株式会社という組織は、事業を行って継続して利益を出していくことを目的としています。
そうすると利益が高い、内部留保が多い会社が最も端的に目的を達成していますので“良い会社”ということになるのでしょうか。
利益が高いかどうかは、良い会社かどうかを判断するうえで最も重要な要素だと思いますが、利益そのものは目的というよりは、会社を継続していくために必要不可欠な要素のひとつだと私は考えています。
議論の中では、良い会社の要素が色々挙がりました。
- 顧客を大切にする会社(主観的)
- 従業員を大切にする会社(主観的)
- 働きがいがある会社(主観的)
- 給料の高い会社(客観的)
- 残業が少ない会社(客観的)
- 社員教育に力を入れる会社(主観的)
- 福利厚生が充実している会社(主観的)
- 社会貢献に力を入れる会社(客観的)
- コンプライアンス重視の会社(客観的)
- 技術力のある会社(客観的)
- 成長性の高い会社(客観的) etc
どれも間違いではなく、それぞれ主観的なものと客観的なものに分かれます。取り方によってはどちらともとれるものもあります。
異なる目線
従業員目線だと従業員満足度(ES)と関連性が高い主観的な要素が多くなり、経営者目線だと対外的にもわかりやすく評価しやすい客観的要素が多くなっているように思います。
ここでのポイントは経営者目線と従業員目線では良い会社の判断基準が若干異なっているということです。
例えば、経営者も従業員も社員教育が充実している会社が良いと思っています。
しかし、経営者は出来るだけコストも抑えたいと思っていますので、なんでも会社に頼るのではなく自己啓発もしてほしいと考えています。
逆に従業員からすれば、仕事に必要な研修なのだからもう少しお金を出してくれよと思っているでしょう。
このように経営者は客観的な評価である利益を出すことを優先的に考えながら判断する傾向があり、従業員は主観的な評価である自己満足度を優先的に考えながら判断する傾向があります。
私たちのような管理部門や、中間管理職はこのことを理解したうえで施策の執行や社内調整を行う必要があります。
営利企業である株式会社なのだからさも当然とばかりに、経営者が利益優先の施策を執行しようとする時や利益が出ないという理由で決裁を拒むような時は、冷静な判断を促すように注意しましょう。
逆に従業員が顧客の為という大義名分で採算度外視のクオリティー追求が行われているような場合は、独りよがりになっていないか同様に注意しましょう。
本当に大切なのは顧客の為になって尚且つ利益も出すことです。
どうしても自分の立場に正義があると考えてしまうと、正義を貫くためなら多少の犠牲はやむを得ないと考えてしまいます。企業が長く継続していくためには、常に偏りすぎないバランスが必要です。
特に管理部門で働くスタッフにはこのバランス感覚を磨くことがとても大切だと思います。