職場での人間関係に疲れたら、アドラー心理学の「課題の分離」を試して下さい
課題の分離
なんとなく苦手な上司、扱いづらい部下、馬が合わない同僚。
社内の人間関係がすべて円滑だとは限りませんよね。
だからといって自分勝手をしていれば、社内に居場所が無くなり、いつの間にか仕事も回ってこなくなってしまいますし、最悪の場合、人間関係がうまくいかずに会社を辞めてしまうこともあると思います。
私自身もこの上司は考え方が合わない、この部下は私の考えを理解していないと、思い悩む日々を長く過ごしていました。
しかし、ここ数年はそのようなことをあまり気にせずに仕事が出来るようになってきました。それは「課題の分離」ができるようになってきたことが大きな要因だと思っています。
「課題の分離」は、アドラー心理学における人間関係の基本的な考え方です。
例えば、実際に私の職場であった話ですが、始業前に一部の社員が自主的にデスクの拭き掃除をしていました。ある時、掃除をしていた社員が始業前ギリギリに来る社員に対し、いつもギリギリにきて掃除は自分たちばかりがしていると不満をもらしていることがありました。
もし、掃除をしている社員がギリギリに出社する社員に「みんなと同じように掃除してほしい」と言ったらどうなるでしょうか。言われた社員からすれば、自分は始業前にちゃんと出社しているし仕事をさぼったわけでもないのになぜそんなことを言われなければならないのかと感じるかもしれません。不本意だけど少し早く出社して一緒に掃除をするかもしれません。
どちらにしても他人に自分の考え方を強要したり、されたりしたことにより、ぜんぜん言うことをきいてくれない、あの人とはうまくいかない、などといった負の人間関係が生まれてしまうでしょう。
そこで、アドラー心理学ではその事象が「誰の課題か」を考えるようにしています。
始業前にデスクを拭き掃除するのは誰の為にやっているのかというと、自分が気持ちよく仕事に入れるように自主的に行っていることだとすれば、他人が同じように掃除するかしないかは関係ありません。
みんな同じようにやってくれたらそれは自分にとって気持ち良いことですが、それを誰かに強要してはいけません。始業前に掃除したほうが気持ちよく仕事ができるようになれると気づき掃除するようになるかどうかは相手の課題だからです。
この考え方が「課題の分離」です。
よく言われることですが、変えられるのは自分自身であり、他人は変えることができないのです。
私も部下を持って間もないころは自分の考えが正しいと信じ、良かれと思って、自分なりの愛情だと思って指導をしていましたが、なかなか響かない部下に対しては不満を口にしたり、苛立ったりすることもよくありました。しかし、そうなると部下も徐々に頑なになっていき、雰囲気も悪くなっていきました。
そうならないようにする為には、まず自分自身がどうあるべきかを、どうしたいのかを考え、自分と異なる考え方についてもいったんは認め、より良い方向に進むための「課題」は誰のものかを冷静に考えてみると良いと思います。
詰まるところ、自分自身がやるべき事、やりたい事をやり切ったかどうかが重要で、結果は二の次です。
仕事の結果には多くのステークホルダーが関わってきますので必ずしも自分の望む結果になるとは限りません。そんな中でも自分は全力を尽くせたか?と自問自答し、もし出来ていたのなら結果を受け入れるだけです。
「課題の分離」に是非取り組んでみて下さい。
また、アドラー心理学に関する書籍は沢山ありますので1冊読んでみることをお勧めします。