業務改善に取り組むも上手く進まないと感じたら、とにかくスタッフを励まそう!
どう見られているか?
私が今の職場に転職してきたときは、スタッフ3名で総務・経理・労務管理全般をおこなっていましたが、月平均残業時間は30~40時間ほどあり、給与計算期間中は常に午後10時をまわって深夜残業となっていました。
毎日、その日の業務を“こなしていく”ことが日常となっていて、まさに仕事に追われている状況でした。
私が採用された直接のきっかけは、長年勤めていたスタッフが退職することになったことなのですが、これを機会に核となる管理職を採用して大きくなりキャパオーバーになりつつある管理部門の機能を強化したいと考えていたそうです。
当時の状況と求められている役割を聞き、私の前職での管理部門での経験を生かしてもう一段キャリアアップできるのはここだと、とても“ご縁”を感じたことを覚えています。
入社してまずは自部門の現状把握に努めるのですが、同時に会社全体の状況と何より現場スタッフが管理部門をどのように見ているのかを知る必要がありました。
これはとても大事なことで、総務経理の業務改革は経験値で進めていける自信がありましたが、初めての業態業種でしたし、現場の管理職やスタッフがこれまでの管理部門をどのように見ていたのかを知ることで、今後の改革の課題が客観的に分かるのではと考えました。
そして分かったのが「何をしているか良くわからないけど、とにかく忙しそうにしている」だったのです。
これはとても大きなヒントとなりました。
改革を成し遂げたいと考えるならば、まずは他部門からどのように見られているかを知ることから始めましょう。
「問い合わせ」は止まらない
管理部門には毎日現場から「問い合わせ」があるものです。
「問い合わせ」には多種多様なものがあり、これに如何に対応しているか、きちんと対応できているか、がその会社の管理部門の能力を端的に表しているのです。
社内でわからないことがあれば総務部に聞けば大抵のことは解決する。
これが理想の状態です。しかし、私の入社当初は「何だかいつも忙しそうにしていて聞きづらいし、頼みづらい」と思われていたのです。
実際、忙しかったのでしょうから、仕事を頼まれればさらに忙しくなるという悪循環だったことでしょう。
そこでまずは目指す理想の状態(ゴール)を以下の管理部門の方針として全員で共有することからスタートしました。
- ミッション(存在意義):経営者または従業員が直面している諸問題の解決策(知識・経験・アイデア)を示し、業務遂行上の障害や不安を取り除くこと
- ビジョン(あるべき姿):社内一の相談相手(真っ先に顔が浮かぶ)/広い守備範囲(知識・経験・アイデア)を持つ人材の集団となること
- バリュー(備えるべきスキル):臨機応変な対応力(イレギュラー対応力)、コミュニケーション力(傾聴力)、業務の正確性・スピード、ITスキル、スケジュール管理力
目指すゴールを明確にしないと、何をやるにしても不満ばかりが先行してしまいます。
特に長年にわたって変化なく業務を進めてきた結果、業務が属人化しているようであれば、ちょっとした変化も大きな負担に感じてしまします。
今は負担が大きくて苦しいけれど、この改善をやりきったならこんなに楽になるのだという励ましを常にリーダーが発信しなければなりません。
業務改革の先頭に立つ管理職やリーダーは、自らが率先してこの協力してくれるスタッフを励ますことに取り組むことが成功のポイントだと思います。
ちなみに私の入社から2年後にはスタッフの月平均残業時間は10時間以下になり、ほぼ定時で帰ることができるようになりました。
2年間の取り組み内容についてはまた別の機会に触れていきたいと思いますが、部内の業務改善は大きく前進しました。
しかし、これは管理部門方針の実現を目指すためのあくまでもスタートです。まだまだ理想の状態までは努力が必要です。