休業手当と休業補償の違いは?
休業の正しい意味
コロナ禍において小学生以下の子どもがいる家庭では臨時休校であったり、行政からの休業要請などにより従業員が休まざるを得ない職場も多かったでしょう。
また、コロナ過では体調不良や感染者への接触の可能性ある従業員の出勤は感染リスクを考えて神経質になり、会社を休むと給与がどうなるのかという問い合わせも非常に多くあったと思います。
そこで、給与が補償される「休業」の概念について整理してみました。
休日と休暇
休業の話の前に、一般的に就業規則には次のような休日に関する規定があると思います。
第〇条 会社の休日は次の通りとする
1)日曜日
2)国民の祝日
3)年末年始(12月31日から1月3日)
4)その他会社が指定する日
ここでの「休日」とは「労働義務がない」ことを意味します。
さらに「休日」には、「法定休日」と会社が就業規則等によって定めた「所定休日」があり、どちらも労働義務はありません。
これに対して「休暇」とは「労働義務がある日」に会社がその「労働義務を免除する日」のことです。
例えば、年次有給休暇、育児介護休業、看護休業などがそうです。
働きたいのに働けない
そして休業とは、「労働義務のある日」に労働者が働ける状態であるにも関わらず、会社側の都合(使用者の責に帰すべき理由)で働かせることができない状態のことを言います(労働基準法第26条)。
このような場合には、会社は従業員に対し平均賃金の6割以上を支払う必要があり、これを「休業手当」と言います。
「休業手当」を支払わない場合は労働基準法違反となりますので注意しましょう。
雇用調整助成金の助成対象となるのは、この「休業手当」を支払った部分に対してということになります。
休業手当の対象に当たるか
また、コロナ禍でよくあったケースが、原因不明の体調不良やコロナ感染者との接触の疑いなどで会社を休む場合です。
体調不良の場合(無理すれば労働できる状態も含む)は、従業員が通常の労働を提供できない状態ですから欠勤扱いとなり、「休業手当」の対象となりません。
コロナに感染するなどした場合は、感染症法上の隔離状態が要求される為、これも会社の都合ではありませんので「休業手当」の対象とはなりません。
このように私傷病で休まざるを得ない場合の補償は、健康保険の傷病手当金を利用するようにしましょう。
休業補償とは
「休業手当」と似た言葉で「休業補償」があります。
これは「労働者が業務上で負傷したり病気にかかった場合、療養中に働くことができず賃金が受けられない場合に平均賃金の6割以上の補償を行わなければならない」という労働基準法第76条の規定によるものです。
業務上の負傷や病気の治療費を負担する「療養補償」などと合わせ、これらの災害補償を保険で賄うようにしたのが「労災保険」になります。
まとめ
- 休日とは労働義務のない日
- 休暇とは労働義務を免除された日(年次有給休暇など)
- 会社都合で働けない日が休業
- 休業の際は平均賃金の6割以上の休業手当を支給しなければならない
- 私傷病の場合は健康保険から標準報酬月額の約3分の2が傷病手当金として支給される
- 業務上の怪我・病気で療養中は平均賃金の約8割が休業補償として支給される(労災保険)