面接で最も見極めなければならないことは採用後のミスマッチが起きないかどうかである。

2024年1月10日

平成の大不況

私が就職活動をしていたのは1998年の春頃ですからもう25年以上前になります。その前後の経済状況を今振り返ってみると背筋が凍るような状況です。

私の父は公務員だったので当時の不景気の影響を生活の中で感じることはほとんどなかったのですが、97年4月には消費税が5%に引き上げられて個人消費が落ち込み、バブル崩壊の影響で銀行は新規貸出を抑制(貸し渋り)や資金回収(貸しはがし)が盛んに行われたため、企業の設備投資は激減、景気は低迷し、大量のリストラにより失業者が増加していました。

同じ年の11月には山一証券が破綻するなど金融機関までもが倒産するほど混迷していました。翌98年には金融システム安定化関連の法律が成立し銀行に公的資金を投入される事態にまで発展し、経済成長が戦後最大のマイナスを記録、リストラ・倒産から完全失業率が過去最悪となり「平成の大不況」となったのです。

厳しい就職戦線へ

後に就職氷河期やロスジェネと呼ばれて非正規や派遣が多いと言われる世代のど真ん中なのですが、学生だった当時はそこまで深刻に正直感じていませんでした。

それは結果的に希望する会社に就職できたからなのかもしれませんが、当時の経済状況が企業に与えている大きな影響について全くと言っていいほど理解していなかったというのが正しいかもしれません。

ただ、文系学生でこれといった資格やスキルもなくどこにでもいる平凡な学生だったので、採用がより厳しくなる前に内定をもらおうと思い、とにかく早く動こう、とにかく足でかせごうぐらいに思っていました。

どちらかというとフットワークが軽いほうではない私でしたが、リクルートスーツを着て本格的に就職活動を開始してから最終的に第1志望となった都市銀行に内定をもらうまでの約3か月の間に約50社前後の会社を受けたように記憶しています。

特にやりたいことや行きたい会社が最初からあったわけでもなく、当時スマホはもちろんのことパソコンやインターネットもまだまだ普及していなかったので、情報を得るためにとにかく会社説明会に行き、OBやリクルーターに会い、面接を受ける日々でした。

最初の頃はろくに志望動機も言えず、OB訪問ではいろいろと指導されたりと、とにかく大変だったという記憶しかないのですが、何度もの面接を重ねて経験を積み、徐々に自分のことばでしっかりと話せるようになっていくことで自分の成長を感じることができる日々でした。

そして最終的に自分で内定を取るという気持ちで臨んだ第一志望の銀行から内定を頂いた時、自分なりに就職活動をやり切った感がありましたのでそこで活動を終了しました。内定をもらったのではなく、取りに行ったという充実感がありました。

当時の金融機関の置かれていた状況を考えると何で銀行に決めたのかツッコミを受けそうですが、そこは学生ですから就職活動を通じて見聞きしたOBや面接官の話を自分なりに大切にしたということだと今では思っています。

実際、この後数年間の間に銀行は合併統合を繰り返し、当時の銀行名がほとんどなくなっていくことになります。

そんな大変な就職活動を経験して入社した銀行をわずか4年で退職することにはなってしまうのですが、この時の就職活動は人生の中でも非常に貴重な経験であり、平凡な学生だった私が初めて社会と接点を持ち自分なりの結果を出せたという成功体験として大きな自信となりました。

就職活動の経験が面接官で生きている

今は逆に面接をする立場になり、自分なりの「ものさし」で採否を判断してますが、その「ものさし」の自分自身の過去の就職活動を通じて得た経験がベースとなっており、忘れず心掛けているのは応募者に本当に合っている職場に就職して欲しいという思いで向き合うということです。

本当に自分にどんな仕事が出来て、どんな仕事が向いていて、どんな仕事がやりたいかを客観的に分かっている人はほとんどいません。お恥ずかしい話ですが、未だに私自身も管理部門の仕事がそれなりに出来るいうのは分かっていますが、向いているのか、やりたかった仕事なのかと言われると即答できない自分がいたりします。

40歳超えても不惑とはいかないようで。でも人間なんてそんなものだとも思っています。

ですから、面接では場合によって、当社もしくは管理部門の仕事が合っていないのではと気づかせてあげるような面接をすることもあります。少し上から目線で傲慢に映るかもしれませんが、入社後にミスマッチがおこってしまい早期退職することがお互いにとって一番不幸なことだと思うからです。

これは自分自身の就職活動もそうですが、その後の転職活動を真剣に取り組んだからこそ、応募者の迷いや葛藤を面接という短い時間の中で見極めることができるという、私自身のスキルだと思っています。

そんな偉そうなことを言ってみても、他人の心の中までは見ることができないので、結局は採用してみないとわからなのですが、少なくとも採用においては妥協ではなく、納得で終わることができるよう心がけています

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人事,採用

Posted by M部長