自宅でオンライン研修を受講したら手当は出るの?
研修と労働時間
コロナ禍以降、集合研修が減り、オンラインで研修を受講する機会も増えました。
場所を選ばなくなったおかげで、自宅で休日に研修を受講したりもできるようになりましたが、このような場合は労働時間となるのでしょうか。
私の職場でも、社内・社外問わず、研修が勤務時間となるかどうかがたびたび議論になりますので、研修と労働時間の関係性について整理しておきたいと思います。
どんな研修が労働時間になるのか
研修とは社員に職務上必要となる知識や技能の習得を目的とするものですから、そもそも職務に関係ないものは労働時間とは無縁と考えます。
実施形態としてセミナーのように集合形式で行われるものから、企業内で実施されるOJTや、個人が自発的に行う資格取得のための勉強も広義の意味で研修と言えます。
所定労働時間内で実施されるOJTが労働時間となるのは当然ですが、もしOJTが所定労働時間外にまでおよんだ場合はどうでしょうか。
たとえ業務終了後の時間帯でも上司の指揮命令下で行われていたのであれば、当然、時間外手当は発生します。
これは、集合研修であったとしても同様です。
労働時間に該当するかどうかのポイントは、会社の指揮命令下で実施されたものかどうかです。
実施場所や日時は関係ない
社内か社外かといった実施場所、夜間・休日といった実施時間にとらわれず、会社の指揮命令下で実施されたものであれば全て労働時間となります。
また、安全衛生教育などの法定の研修については、事業者が実施の責任を負っており、参加しなければ業務ができないという従業員にとっては不利益も生じますので必然的に労働時間となります。
上記のような場合を除き、業務上義務付けられていない自由参加の研修であれば、業務に関係ある内容であり、社内で実施されたとしても労働時間には該当しません。
しかし、自由参加だったとしても、研修への不参加が人事評価にマイナス影響がある場合などは労働時間に該当します。
よって、冒頭にあった休日に自宅でオンライン研修を受講した場合も、受講が会社から義務付けられていれば労働時間となります。
労働時間かどうかは事前に確認
研修以外でも、仮眠・待機時間、制服や作業着への更衣時間、出張に伴う移動時間などについても労働時間に該当するかどうかが問われることがよくあります。
中小企業においても2020年4月から「時間外労働の上限規制」が適用され、時間外労働および休日労働は原則として月45時間以内、年360時間以内、臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間以内、単月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内となりました。
これを超えると違法となり罰則もあります。
無用な争いを避けるためにも、労働時間になるかどうかについては、労使間でよく話し合って就業規則などに明記しておくことが大切でしょう。