労務担当や中間管理職の問題社員への対処法について
問題社員が現れたら
辞めてほしい社員が現れたらどうしますか?
まず、長期戦を覚悟してください。
もし「お前はクビだ」なんて言おうものなら、今の時代、逆にパワハラ、不当解雇で訴えられてしまいます。
早期解決できるにこしたことはありませんが、簡単に解雇できるケースはほとんどないと思ってください。
もし問題社員に対し、ひとつ対応を間違えると、瞬く間に炎上してししまい取り返しがつかなくなってしまいます。
そうならないよう、特に管理職は日頃から対処方法について理解しておく必要があります。
問題社員はどうやって現れるのか
私自身、直属の部下がユニオンに加入し、団体交渉を申し入れられた経験があります。
また、別の社員が退職後に労働基準監督署で個別労働紛争解決制度を利用した交渉を申し入れてきたり、退職勧奨を行った社員によるネット上へ誹謗中傷に対処したこともあります。
こういった問題社員となる方々も、入社した当初から問題社員だったのかというとそんなことはありません。
ちょっとしたボタンの掛け違いや誤解が、日常の不満として蓄積していくことで、私は正しいことを言っているのにといった感情へ育ち、いつしか会社を敵、会社を守る社員も敵と見るようになっていくのです。
問題社員となってしまうケースのほとんどが、一見すると正しいように聞こえるのですが、全体最適を考えると自己主張が強すぎるといったことが多いような気がします。
一般社員の側からは会社の全体像が見えていないので正しいつもりなのですが、そのことを会社が認めないと自身が否定されたように感じ、私は正しい、会社は間違っていると考え、そのうち指示命令を聞かなくなってトラブルになっているように思います。
こうなってしまうと、継続して就業してもらうことは難しくなり、改善に向け地道に交渉を続けていくうちに最終的には相手側自らが会社を去っていくケースがほとんどです。
もちろん、会社としてコンプライアンス上問題ないことを前提としていますので、会社側に何らか問題がある場合は真摯に対応するようにしましょう。
具体的対策
実務において、問題社員と相対する前に就業規則は常に最新の社内状況に合致したものにしておきましょう。
特に「懲戒」に関する条文は一般的な内容にとどまらず、自社で想定されるような具体的なものしておくと良いでしょう。該当すれば規定に従って「処分」することが可能です。
しかし、「懲戒処分」とするまでにもいくつかの段階があります。
本人との面談による注意、度重なる注意で改善がなければ文書にて通知、改善までの期間や内容まで文書にする、など面談内容についてもできるだけ細かく記録に残すようにしましょう。
また、面談の際は1対1にならないようにし、言った言わないとならないよう記録係に同席してもらい、必ず記録を残すようにしましょう。
また、頻繁に面談や文書通知をしすぎるとパワハラになってしまいかねませんので、ある程度の時間を空けながら粘り強く対応しましょう。
これだけやっているとあっという間に半年や1年は経ってしまうでしょう。
最初に申し上げた通り長期戦になります。私はユニオンに加入した直属の部下とのこう言ったやり取りを団体交渉も含めて2年半ほど続けました。
対応に当たっては労働問題に強い弁護士や社会保険労務士の先生の意見も必ず聞くようにして下さい。事前に相談しておけば、いざ訴訟になった場合にすぐに対応してもらえます。
交渉がこじれてくると問題社員も様々な知識を仕入れて上げ足をとるような行為に出るようになってきますので、会社のほうが間違っている所があれば必ず正すようにしましょう。
会社を守るためにも、また一生懸命頑張っている正直者の社員が報われるようにするためにも、管理部門は最後の砦として毅然と対応するようにしましょう。