部下育成の前にTRUSTとCREDITの違いを理解しておこう
TRUSTとCREDITの違いはをご存じですか?
人材育成においてとても大切なことだと何かの機会に知ったのですが、そのことについて書いてみたいと思います。
ビジネスの世界は常にCREDIT=信用で成り立っています。それに対してTRUST=信頼があります。似て非なるこの2つの言葉ですが、簡単に言うと、一定の条件下のもとで信頼するのがCREDITであり、無条件で信頼するのがTRUSTです。TRUST>CREDITとなるでしょうか。
先に述べた通り、ビジネスの世界は常に信用で成り立っています。取引先と契約書を交わすのは、ビジネス遂行においてお互いの条件を確認するためです。クレジットカードも限度額や有効期限があって、その範囲内であれば現金がなくても物が買えるのです。
そんな信用でなりたっているビジネスの世界なのですが、人材育成は信用だけでは上手くいきません。
育成の為にも部下に任せたほうが良いと頭では理解していても、管理職もプレイングマネージャーとして成果を求められると、自分でやったほうが効率的だと判断してしまい、部下に指示を出す前に自らかたづけていました。部下もそのほうが楽だろうし、自分の仕事に集中できるだろうと、振り返ってみると私もその傾向が強かったように思います。
それからしばらくして、「部長が何をやっているかわからない」「部下のことを考えていない、一人部長」などなど、批判にさらされることになってしまいました。知らず知らずに、部署の雰囲気も悪くなっていました。
これはプレイングマネージャーの失敗例のひとつの典型だそうです。
その後は部下と何度もミーティングを重ねました。私は10人以下の管理部門を縦割りにはしたくなかったのですが、これまでなんとなくだった担当業務を総務・経理・労務の課を作って所属と責任を明確にして、バランスが悪くならないよう業務を割り振ることに集中しました。
ミーティングでは自分自身の業務状況と持っている情報をすべて共有するようにし、どうしても難しい案件のみ自分で取り組むことにしてあとの業務はすべて部下に進めてもらうようにしました。ゴールを決めて余計な口出しはせず、進捗確認と困った際の相談にだけ乗るようにしました。
当初は業務スピードが若干落ち、慣れない業務でのミスも目立ちましたが、1年後には見違えるほど雰囲気が良くなり、経営陣からもお褒めの言葉をいただくことができました。
このとき実践したのが、TRUST=無条件に信頼して任せるということでした。
「君に期待している」という特別感を与えることと、「何かあったら責任はとってあげる」という信頼があれば、自然と人材育成ができるということを、身をもって体験したのです。
始めた当初は回りくどくてめんどくさいと思っていましたが、「急がば回れ」ということわざにある通りになり、その効果を実感することができた貴重な経験でした。
部下育成に困っている方は、ぜひ実践してみて下さい。